
アメリカ生まれのビーチクルーザー。その歴史は古く、20世紀初頭の戦前にまで遡ります。

1920年代以降自動車の大量生産時代へと移行したことに伴い、自転車は近距離移動の際や自動車が使用できない際、自動車免許を持っていないティーン向けに特化されるようになりました。
1930年代、航空機の着想から流線型のデザイン(エアロダイナミックデザイン)が取り込まれるようになりました。当時のティーンに支持され爆発的な人気を得、この人気モデルがアメリカ国内で生産される自転車デザインの主流となっていったのです。
戦後の1945年にクルーザーバイシクル(ビーチクルーザーの原型)が持ち込まれ、日本各地で自動車の代用とされて運搬やリヤカーの牽引などに使用されました。そして1950年代、戦後のベビーブームに生まれたベビーブーマーたちの間で膨大な需要が生まれ、自転車隆盛の時代へと突入していったのです。

日本でビーチクルーザーは「サーファーが浜辺まで移動するための自転車」として紹介され、サーファーの集まる浜辺周辺でよく見かけられるようになりました。独特な車体デザインのため、特にファッションにこだわる若者に好まれました。
アメリカ的雰囲気を醸し出していた装いも、日本独自のファッション性と実用性、新しいデザインとともに発達し、現在ではバリエーション豊かなデザイン・カラーが定着しています。
ビーチクルーザーは現在のBMX(バイシクルモトクロス)やマウンテンバイクの原型になった自転車ともいわれています。その理由は、1970年代、マウンテンバイクの創始者、ゲイリー・フィッシャーがビーチクルーザーのフロントフォークやタイヤを改造してサンフランシスコ郊外などで山遊びをする「ダウンヒル」を流行させたことにあります。
ビーチクルーザーは、もともとビーチを走るために作られた自転車なので、通常の自転車とは異なる特徴がいくつかあります。
ビーチクルーザーは「どこまでものんびりと行ける、ラクな自転車」というコンセプトのもと、こだわり抜かれたパーツが採用されています。
大きなサドルを採用することでどっかりと腰かけてダラダラとどこまでも漕げ、「抵抗が少ないタイヤ」で、少ない力で前に進んでくれます。また、やわらかいグリップは長時間握っていても疲れません。どれもすべて「ラクな自転車」のコンセプトにぴったりなパーツが採用されているのです。
自転車にまたがってハンドルに手を添えてもらえば、おわかりいただけるでしょう。